固定資産税とは?課税される対象
固定資産税は、毎年1月1日時点で土地・建物・償却資産を所有している人に課される地方税です。不動産を所有している限り毎年支払う必要があり、住宅ローンの返済が終わっても負担が続く「持ち家のランニングコスト」の代表格です。
課税対象となる不動産は以下のとおりです。
- 土地:宅地・田畑・山林・雑種地など
- 建物:住宅・店舗・事務所・工場・倉庫など
なお、市街化区域内の土地・建物には固定資産税に加えて都市計画税(税率上限0.3%)もあわせて課税されます。以下の解説では固定資産税を中心に説明しますが、都市計画税も同じ課税標準額をもとに計算される点を覚えておいてください。
固定資産税の計算式
固定資産税の基本的な計算式はシンプルです。
課税標準額とは、市区町村が3年ごとの評価替えで決定する「固定資産税評価額」をもとに算出される金額です。土地については住宅用地の特例(後述)で評価額が軽減される場合があり、特例適用後の金額が課税標準額になります。
税率は標準税率1.4%ですが、自治体によっては1.5%や1.6%に設定しているケースもあります。都市計画税の税率は上限0.3%で、多くの自治体が上限の0.3%を採用しています。
固定資産税評価額の目安
固定資産税評価額は実勢価格(市場で売買される価格)とは異なります。おおまかな目安は以下のとおりです。
| 種別 | 評価額の目安 |
|---|---|
| 土地 | 公示地価の約70% |
| 建物(新築時) | 建築費の50〜70%程度 |
たとえば公示地価が1㎡あたり30万円の土地100㎡なら、評価額は約2,100万円(3,000万円×70%)、固定資産税は年間約29万4,000円(2,100万円×1.4%)が目安です。ただし住宅用地であれば後述の特例が適用され、大幅に軽減されます。
住宅用地の特例(1/6・1/3軽減)
住宅が建っている土地(住宅用地)には、固定資産税を大きく軽減する特例があります。この特例は住宅を所有しているほぼすべての人に適用されるため、非常に重要です。
| 区分 | 面積要件 | 固定資産税 | 都市計画税 |
|---|---|---|---|
| 小規模住宅用地 | 200㎡以下の部分 | 評価額×1/6 | 評価額×1/3 |
| 一般住宅用地 | 200㎡超の部分 | 評価額×1/3 | 評価額×2/3 |
先ほどの例(評価額2,100万円の土地100㎡)に住宅が建っている場合、小規模住宅用地の特例が適用され、課税標準額は2,100万円×1/6=350万円になります。固定資産税は350万円×1.4%=年間約4万9,000円です。特例がない場合(約29万4,000円)と比べて約6分の1に軽減されます。
新築住宅の注意点と減額措置
新築住宅を取得した場合、建物の固定資産税が一定期間減額される制度があります。
| 建物の種類 | 減額期間 | 減額率 |
|---|---|---|
| 一般の戸建住宅 | 新築後3年間 | 税額1/2 |
| 一般のマンション(3階建以上の耐火構造) | 新築後5年間 | 税額1/2 |
| 認定長期優良住宅(戸建て) | 新築後5年間 | 税額1/2 |
| 認定長期優良住宅(マンション) | 新築後7年間 | 税額1/2 |
適用条件は、居住用部分の床面積が50㎡以上280㎡以下であることです(賃貸住宅の場合は40㎡以上280㎡以下)。また減額対象となるのは1戸あたり床面積120㎡相当分までです。
中古住宅を購入する場合の注意点
中古住宅を購入する際には、固定資産税について以下の点を確認しましょう。
-
1
現在の税額を納税通知書で確認する 売主に直近の固定資産税・都市計画税の納税通知書を見せてもらいましょう。土地・建物それぞれの評価額と税額を確認できます。
-
2
建物の経年減価を理解する 建物の評価額は築年数が経過するにつれて下がります。木造住宅は約25年で評価額が最低水準(新築時の約20%)まで下がりますが、鉄筋コンクリート造(マンション)は下がり方が緩やかで、築30年以上でも一定の評価額が残ります。
-
3
リフォームによる評価額の変動に注意 大規模なリフォーム(増築・用途変更など)を行うと、建物の評価額が見直される場合があります。一般的な内装リフォームや設備交換は評価額に影響しません。
中古住宅の場合、新築時の減額措置はすでに終了しているため、現在の税額がそのまま将来の目安になります。ただし3年ごとの評価替えで土地の評価額が変動する可能性はあります。
土地だけを所有する場合の注意点
住宅を建てずに土地だけを所有する場合、住宅用地の特例が適用されないため、固定資産税が大幅に高くなります。
具体的な影響を比較してみましょう。
| 条件 | 住宅あり(特例適用) | 更地(特例なし) |
|---|---|---|
| 土地の評価額 | 2,100万円 | 2,100万円 |
| 課税標準額 | 350万円(×1/6) | 2,100万円 |
| 固定資産税(年額) | 約4.9万円 | 約29.4万円 |
相続した空き家を取り壊して更地にする場合や、住宅の建て替え期間中は特に注意が必要です。自治体によっては「住宅建て替え特例」を設けている場合があるため、取り壊し前に市区町村の固定資産税担当窓口に相談することをおすすめします。
知っておきたい軽減措置・特例一覧
固定資産税に関する主な軽減措置・特例をまとめます。
| 特例・軽減措置 | 対象 | 内容 |
|---|---|---|
| 住宅用地の特例 | 住宅が建つ土地 | 200㎡以下:評価額×1/6 200㎡超:評価額×1/3 |
| 新築住宅の減額 | 新築住宅の建物 | 3〜7年間、税額1/2 |
| 認定長期優良住宅 | 長期優良住宅の建物 | 5〜7年間、税額1/2 |
| バリアフリー改修 | 改修済み住宅の建物 | 翌年度分、税額1/3減額(100㎡まで) |
| 省エネ改修 | 改修済み住宅の建物 | 翌年度分、税額1/3減額(120㎡まで) |
| 耐震改修 | 改修済み住宅の建物 | 翌年度分、税額1/2減額(120㎡まで) |
バリアフリー改修・省エネ改修・耐震改修の減額措置は、工事完了後3か月以内に市区町村への申告が必要です。申告を忘れると減額が受けられないため、リフォーム業者から工事証明書を受け取ったらすぐに手続きしましょう。
不動産売買時の固定資産税の日割り精算
不動産を売買するとき、固定資産税は引渡し日を基準に日割りで精算するのが一般的な商慣習です。
1月1日時点の所有者(売主)が1年分の固定資産税を納税し、引渡し日以降の分を買主が売主に精算金として支払います。
日割り精算額は手計算だと間違いが起こりやすいため、ツールを使って正確に計算することをおすすめします。当サイトの固定資産税日割り計算ツールなら、年額と引渡し日を入力するだけで売主・買主それぞれの負担額を瞬時に算出できます。1月1日起算・4月1日起算の両方に対応しています。
よくある質問
Q. 固定資産税はいつ払うの?
毎年1月1日時点の所有者に課税され、通常4〜6月頃に納税通知書が届きます。支払いは年4回(6月・9月・12月・翌年2月が一般的)の分割払いか、一括払いを選べます。自治体によって納期は異なるため、届いた通知書で確認してください。
Q. 新築の場合、軽減措置はありますか?
はい、あります。一般の戸建ては新築後3年間、マンション(3階建以上の耐火構造)は5年間、建物の固定資産税が1/2に減額されます。認定長期優良住宅ならさらに延長され、戸建ては5年間、マンションは7年間です。床面積50㎡以上280㎡以下が条件です。
Q. マンションと戸建てで税額は変わりますか?
同じ購入価格でも変わります。マンションは土地の持分が小さいため土地の税額は低くなりますが、鉄筋コンクリート造の建物は木造より評価額が高く、経年減価も緩やかです。一方、戸建ては土地の持分が大きい分だけ土地の税額は高くなりますが、木造建物は評価額の下がり方が早い傾向があります。
Q. 固定資産税評価額はどうやって決まるの?
3年ごとの評価替えで見直されます。土地は公示地価の約70%を目安に、建物は再建築価格方式(同じ建物を新築した場合の費用から経年劣化を差し引く方法)で計算されます。評価額に疑問がある場合は、評価替えの年に固定資産評価審査委員会に審査を申し出ることもできます。
Q. 不動産売買のとき固定資産税はどう精算するの?
引渡し日を基準に日割り精算するのが商慣習です。売主が1年分を納税し、引渡し日以降の分を買主が売主に支払います。起算日は関東では1月1日、関西では4月1日が一般的です。当サイトの固定資産税日割り計算ツールで正確な精算額を計算できます。
まとめ:固定資産税の仕組みを理解して賢く節税する
固定資産税は「課税標準額×1.4%」というシンプルな計算式ですが、住宅用地の特例や新築住宅の減額措置を正しく理解しているかどうかで、年間の負担額に大きな差が生まれます。
特に重要なポイントをまとめます。
- 住宅用地の特例(1/6軽減)は住宅を所有しているだけで自動適用される
- 更地にすると特例が外れ、翌年の固定資産税が最大6倍になる
- 新築住宅の減額措置は期間限定(3〜7年)のため、終了後の税額で資金計画を立てる
- バリアフリー・省エネ・耐震改修の減額は申告しないと適用されない
- 不動産売買時の固定資産税は日割り精算が必要
不動産売買の際は、日割り精算の計算も忘れずに行いましょう。